2016年10月26日水曜日

THIS RECORD SHOULD BE PLAYED LOUD

中原昌也の『軽率の曖昧な軽さ』に「背後で、西部劇で見るような大乱闘を喚起させずにはおかない、けたたましいバンジョーの早弾きがせき立てる。激しいカントリー音楽が生演奏ではあり得ないほどの大音量でスピーカーから流れている」というシーンがある。このような言い方は陳腐だが、さすがノイズミュージシャンというか、音楽における「異化」とはこういうことだよな、と思う。これはきっと本当に怖い。米軍が捕虜に対してメタリカやレイジアゲインストザマシーンの音楽を大音量で聴かせる拷問をよくやったりしているが、爆音で再生されることに最適化されたラウドミュージックではなく、ニック・ドレイクみたいなフォークミュージックを生演奏では絶対にありえない音量で聴かされる方がキツいのでは? と想像したりする。いまいちイメージができないが。あと、ウーハーを積んだヤンキーの車とか、または、重低音の響く大箱、もしくは109とか、ああいう空間でたとえばロバート・ワイアットをかけたらどんな感じがするんだろうか? トライしたことのある人間はいるのだろうか? 普段と趣向の異なる音楽をかけるというただそれだけのことだが、案外誰も試したことがないかもしれない。