2013年6月19日水曜日

『なついろ - 夏の太陽のせいにして』



 もうすでにその片足を汀で濡らしている夏に向け、CDショップにて一十三十一『Surfbank Social Club』、『あまちゃんオリジナルサウンドトラック』、土岐麻子『HEARTBREAKIN'』の3作を購入しました。これらの作品が今年の夏を彩ってくれるであろうことは間違いなし! なのは確かだろうが、その一方でひっそりと(なのか?!どれくらい人気があるのかわからん)リリースされていたのが、今回紹介する、なついろの『夏の太陽のせいにして』というシングルです。


 なついろは、ジャズ歌手として活動していた森川七月が北川加奈、山崎好詩未と共に、そのユニット名の由来にもなっている「夏」をコンセプトにして結成したポップスグループで、かの由緒正しきJ-POPレーベルであるビーイング所属のアーティストとのこと。


 ファーストシングルは日本テレビ系アニメ『名探偵コナン』のオープニングテーマにもなったとのことで、四つ打ちとはいえ、正統派なビーイングサウンドの精髄が感じられる一曲。サウンドというか、パッケージされてる空気感か。保守的な音楽リスナーのなかでもさらに保守的なリスナー(過激右派)でないと、この音にはなかなか反応できないのではないですか。やーだって、こういうショートディレイかかったメジャーペンタ感のあるギターソロとか、こういうサウンドを最後に聴いたのは……『化物語』のするがモンキーの主題歌、神原駿河 (沢城みゆき)が歌う『ambivalent world』かな! しかもあの曲は、『スラムダンク』をはじめとする、ビーイング系アーティストが主題歌を担当していた90年代の少年マンガ原作アニメへのオマージュでしょう。スポーツ少女が主人公だから。


 低音域がふくよかな歌い手だ。サビ、ELTっぽさが頭をよぎるのはなぜ? いま一歩パンチが足りないなと感じる分、持田香織はやはりそれなりに特徴ある歌手だったのだなと思う。


 それにしても気になったのは、この楽曲タイトルが持つ独特の“うるささ”である。「夏の太陽のせいにして」どこがとはうまく言えないが、妙にまどろっこしいタイトルではないか? ファーストシングルの「君の涙にこんなに恋してる」はより一層まどろっこしい。説明が過ぎるのかもしれない。なんというか、暑苦しさを感じてしまう。


 「夏の太陽のせいにして」このフレーズをサビだけでは飽き足らず、あろうことに2コーラス目ではBメロにもこのフレーズを差し込んでいる。さらにMVを確認してもらえればわかるのだが、このフレーズにまつわる演出が過多なのだ。この感じは一体なんだ? この楽曲において、メロディやコードや何よりも先にこのタイトルだけが出来上がっていたのではないか、と思う。おそらくこのセカンドシングルの企画段階から……。関係ないが、ギターウルフはまず最初に楽曲のタイトルを考え、そのタイトルへと最終的に収斂されていくように作詞・作曲をしていくという。セイジ的に最も気合いの入る単語が「ジェット」らしいので、タイトルに「ジェット」が入ってるギターウルフの曲は、そういう曲です。


 公式プロフィールを見ると、いくつか思うところはあるのだが、何より「色々な夏を表現し、よりさわやかで高揚感のある音楽を届けます。」とあるのが目についた。「色々な夏」かあ。自分たちの表現にとっての“コア”の部分を、この「色々」と一言で言い切ってしまう朴訥とした潔さというか、ただただひたむきな人の良さが伺えるところが、なんだか嬉しかった。この人たちなら、他人を疑うようなマネは決してしないのではないだろうか。


それと、ファーストシングルのジャケットには独特の味わい深さがある。






こっちの曲の方がなんとなく良い。

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