2013年3月11日月曜日

『昆虫キッズ / みなしごep』



 3月1日の雨降る夜、ココナッツディスク吉祥寺店で行われたスカートのインストアライブに行ったとき、そのスカートのニューアルバム『ひみつ』と一緒に買った。どちらも店舗限定の先行発売でしたね。この日のライブはお店の規模的に弾き語りだったのだけれど、とてもいいライブで、端的に言って勇気をもらった。途中、スピッツの「ジュテーム?」(『ハヤブサ』収録)のカバーが飛び出す場面もあり、しかもこれが本当にハマッていたので、感激しました。演奏が終わり、ともに店に訪れていた友人たちと近況などしゃべりながら家へと帰って、『ひみつ』と『みなしごep』をそれぞれ再生したとき、また勇気をもらった。

 昨年9月のアルバム『こおったゆめをとかすように』からスタジオ一発録りCD-R盤『BOOTLEG 1226』、そして『みなしごep』とリリースが続いていますね。『BOOTLEG 1226』に収録されていた「新曲B」がだいぶよかったんですけど、今回は収録されずじまいでした。今作はアルバムから漏れた"みなしご"たちを集めたものみたいです。ちなみに「新曲B」は打ち込みのドラムを導入した曲で、そういう曲はすでにアルバムにも入っているけれど、現時点では依然それがバンドの最新のモードなんだろう。

 ところで「あずきくん」を聴いてスピッツっぽさをめちゃくちゃ感じた。カントリー風のリズムにアコギのストロークとぼんやりしたギター、リヴァービーな歌、涼しげなマイナーセブンスコード……『三日月ロック』の頃までのスピッツにはこういう曲があったような気がしますね。歌詞にもモロ出てくる「水色の街」とか。前述のスカートもそうだったけれど、ここ最近のアクトの音楽を聴いていて、なんとなくスピッツとの接点を感じる瞬間が少し前よりも増えてきたような気がする。僕はスピッツは、三本指に入るくらい好きなバンドなので、とても嬉しい。スピッツは「ロビンソン」以降、常に売れ続けているバンドではあるけど、僕らくらいの世代だと中学くらいに「スターゲイザー」のヒット(あいのりの主題歌だったから!)があって、あの辺りが一個大きな入口になってる印象がある。だからその前後のアルバム『色色衣』『三日月ロック』『ハヤブサ』あたりを愛聴していた人たちがいま20代なかばにさしかかってるっていうことなのかなー。

 「胸が焼けるような / 朝焼け浴びて / 冷たい部屋に帰っていく」「花火ばっかに飽きた / アイツとっておきの街へ / ゲームは続くよチャイナタウン / 震えるママの手には」とにかくセンチメンタルですね。センチメンタルさを鮮やかな風景に仮託していたり、ちょっと自閉的な方向に向いていたり、次の街へ移動していたり、まああと細かい言い回し含めて、スピッツだな……と思う。個人的な話、こういう風に曲を作っていけばいいんだな、という気付きもあったから勇気を貰った。スピッツは僕にとっても巨大なルーツのひとつですから。センチメンタルからは逃れられないですよ。この前、紙ele-kingの2012年ベスト号を読んでいて、"日本のバンドはセンチメンタルすぎる"と書いてあって、たしかに、と思ったけどカラッとしたものをやれる気しないからな!僕もヌルッといこうと思った。



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