2013年4月22日月曜日

『ハナエ / Boyz & Girlz』




 今週はRECORD STORE DAYという米国発のレコード店のお祭り週間ということで、日本でもこれに合わせて限定アイテムの発売などがあり、今回はその中から坂本慎太郎さんのリミックスか、安藤明子さんの7inchカットについてにしようかな、と思っていたのですが、当日お店(新宿のディスクユニオン本館)に行ってみたところ、もう遅い時間だったこともあってすでにそれらのレコードは品切れ……だったため、何にも手に入れていません。RECORD STORE DAYって案外盛り上がってるのかなー、日本事務局ができて今年で二年目とのことだけれど、去年は期間が終わってもけっこう残ってたりしたんです。去年は、カーネーション『天国と地獄 / 愛のさざなみ』モノラル7inchを買いました。島倉千代子のジミヘン風轟音名カバーをモノラルで聴いてみたくて。この盤は店によってはいまだに残っているのではないだろうか?

 例のごとくiTunesStoreのニューリリースコーナーを見て、ハナエという歌手が新曲を出していることを知る。ハナエって、あのCSSのLovefoxxのソロか?!と思って飛びついたものの、普通のオシャレな感じの、日本人の女の子だった。このシングル、元相対性理論の真部脩一さん作詞・作曲・編曲ですね。もう誰もが思うだろうけど、相対性理論の曲にしか聴こえないですもの。バンドサウンドではなく打ち込みサウンドとはいえども。相対性理論にしか聴こえないというのことは別にいいと思うんです。相対性理論の各メンバーは、この五年くらいかけて「相対性理論印」みたいなもの、ひとつのポップスの類型、雛形を作り上げた。結局、ポップスの正統性みたいなものは、そうやって広く認知されることでしか証明できないわけです。アメリカのポップスの模倣から始めたはっぴいえんどやティン・パン・アレーの面々は長い年月をかけて、日本のポップスの歴史のなかで"本物"になっていった。YMOやムーンライダーズだってそうだろうし、奥田民生なんかもそうかもしれないし、小沢健二と小山田圭吾のふたりも、洋楽のまがいものから始まって本物になっていったわけですよね。フリッパーズ時代の小山田さんが20年後にオノヨーコや坂本龍一と同じバンドで演奏するなんて誰も想像しなかったはず。だからなんにせよ、こういうひとつの型を作り上げたことは本当にすごいことです。

 それはそうとして、このハナエという女の子はそれでいいのか。ウィキペディアを見てみると、12歳から宅録を始めて、曲を作ってその世界観なりなんなりが認められてデビューしたとある。音楽のほかにも小説やら漫画やら映画やらいろいろ好きで、"コダワリ"がありそうな感じじゃないですか?……美人界でのポストモダン化が進みすぎて、「美人かつクリエイト能力アリ」みたいな人間が跋扈する(日南響子がDTMやってるのが一番ショックだった)このセルフプロデュース盛んな時代。彼女の自作曲を実際に聴いたわけではないけれど、もし能力があるんだったら、単純にひとつの類型にわざわざハマりにいかなくてもいいじゃないかとは思いますよね。「ただそういうのがやってみたかった」のだとしても、少なくともシングルを切ってまでやる必要はないでしょう。どんな事情があってそうなったかも知らないですけどね。おそらく"大人の事情的"な理由からだろうから、それは担当のディレクターたちに「独特の表現を作っていこう」という意欲を持ってほしいところ。美人の人はただでさえ苦労が多いと思うし求められることがどんどん多くなってるけれど、頑張ってほしい。本当はあんまり頑張ってほしくない(美人以外の人の生きる道が減るから)。



 

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