2013年4月10日水曜日

『あだち麗三郎 / ベルリンブルー』



 あだち麗三郎さんの7インチレコードです。カクバリズムからのリリース。これは久々にいい曲を聴いたなーという感じ、あります。ツイてるー!

 「君の心はとても素敵だからベルリンブルーと呼んでみないか」「マンハッタンはラプソディブルー / あからさまなパノラマ / いつでもここに戻っておいで」音楽ってこういう風に想いを馳せていて欲しいよなって思いますね。再三言われていることながら、世界はずいぶんと狭くなってしまったように思えるけれど、お前は海の向こうにロマンを感じないのか、ということですよ。五木寛之の『青年は荒野をめざす』みたいな、ジャズ青年がひとりで客船に乗って世界を旅して、音楽や恋に出会ったりするなんて一連の流れに!そういうロマンチックなものがわりと僕は好きだったりするんですね。それは小さい頃によく連れていかれた横浜の港の風景がイメージとしてあるのか、ポケモンの「サントアンヌ号」で流れるBGMになぜだか心惹かれるものがあったからなのか……わからないけれど、いまはこういう憧憬みたいなものは、昔の映画とか音楽のなかにしか存在しないのかなと思ってしまいます。いや、思っていました。しかし、ceroの鍵盤奏者、荒内祐さん作曲によるオリエンタルなメロディーは異国情緒をかき立ててくれますね。70年代に細野晴臣さんがやってきたチャンプルーミュージックも、"ここ以外のどこか"に想いを馳せる音楽だったはず。すごい好きだった「北京ダック」とか、ちょっと思い出した。失敗しない生き方の天野さんはツイッターで加藤和彦を引き合いに出していた(気のせいかもしれない)のが印象に残っているけれど、それもなんとなくわかる。どこか洒落ていて、欧米志向なあの感じ。あと、口をあんまり開かずに歌ってそうな感じが似ているんだと思う。

 まあ、あんまり言葉で語りすぎないところがいいんでしょうね。「ベルリンブルー」という言葉だけで旅情みたいなものが十分伝わってきますし。ちなみにベルリンブルーっていうのは紺青色の呼び方のバリエーションのひとつらしいです。この曲はスティールドラムなりチェロなり、楽器がそれぞれソロをとる部分がけっこう長いですよね。メロディが自由に語りはじめるということは、"ここにある音楽"が"古今東西の音楽"へとリンクしようとすることだ。僕らはその音に想いを重ね、想像を巡らすことで、「トリップ」することができるんだと思う。そしてそれは、たしかな技術があってのことだと思います。ホントに、饒舌な音楽です。B面のTUCKERさんのカバーも素晴らしい!








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