2015年12月17日木曜日

ATTACK, DECAY, SUSTAIN, RELEASE (やめるな! 一生やれ! なんでもやれ! ほっといてくれ!)

毎年この季節になると全てが厳しくなってくる。暑いよりかは寒い方がよいと思っているのだが……。なにもかもをやめてしまうことばかりを考える。周囲の人間に対する寛容の度合いが下がる。そしてここではないどこかへの願望が増大する。

スカートの「愛情」という曲に「冬には友達もちょっと増えて / 静かに暮らす夢を見る」という歌詞があるけれど、そういう気持ちとは正反対の心境にあるといえる。もう随分と前にリッキーがツイートしていたこのラインの解釈は、「冬の頃には新学期の頃に比べると仲間たちでいることが馴染んできて、落ち着いて暮らすことができる」みたいな感じだったと思う。それはたしかにいいな、と思った。だが実際の僕は、高2の冬はとにかくクラス替えをしたかったし、高3の冬ははやく卒業したかったことをよく覚えている。大学2年の冬はサークルに行かなくなった。23歳の冬は転職をした。


朝、目を覚ました瞬間から厳しいものがある。なにか音楽を聴いて「良い」と感じることはできるけれどそんなに気持ちが晴れるわけではない。なぜか、数百円から一千円程度の無駄遣いが増える。有意義とはいえない。建設的ではないことをしなければならないのは真面目な自分には辛いものがある。しかしそんな日々の中でも、ただギターリフを黙々と繰り返し、繰り返し演奏している間だけは憂鬱を忘れることができることがわかった。


くるりの「Race」という楽曲は、2004年にリリースされた 5th Album 『アンテナ』の3曲目に収録されている。この楽曲のメインリフは、定位の左側に振られたわずかにクランチ気味のエレクトリックギターと、右側に振られたバンジョーがユニゾンでオーバーダビングされている。バンジョーに関しては不明だが、ギターは1弦2弦6弦のみをそれぞれ全音落とした DADGAD チューニングでの演奏だ。レッド・ツェッペリンのジミー・ペイジやペンタングルのバート・ヤンシュが多用したことで知られるチューニングだが、もともとはイングランド人ギタリストのデイヴィ・グラハムが開発したとされている。ブリティッシュトラッドや中東音楽の要素をロックミュージックに持ち込んだ功績は大きい。16分のシャッフルに非常に細かいハンマリング&プリングオフが絡む上に、ピッキング時に大きく弦を跨ぐためそこそこの演奏技術が求められる。ベースのDに対して16分の4拍目に♯Fが鳴らされるためコードはDメジャーとなり、奇妙な明るさを想起させつつ、コードトーン以外のG、♭B、さらに平行調の3度となるFが一連のフレーズに連なるため翳りが感じられ、名状し難いムードを生み出している……。




「明るく生きなさい」と言われる。まったく反論の余地がない。草木に朝のあいさつをしたり犬にソーセージをあげるなどしながら生きたいものだ。しかし、元気であろうと思うだけの心の支えがないと感じる……。大切なものはとにかく失いまくった。望みはあまりに薄い。窮地に立たされている。


そしてその身をどうするんだ、自らに問いかけた言葉……。



(続きません)



近日、2015年の音楽編、およびマンガ編を更新します。


【2015年に読んで感銘を受けた本】
1. リチャード・パワーズ『オルフェオ』
2. ミシェル・ウェルベック『服従』
3. 乗代雄介『十七八より』

中原昌也『知的生き方教室』
森茉莉『貧乏サヴァラン』
庄野潤三『プールサイド小景』
サリンジャー『フラニーとゾーイー』
橋本治『花咲く乙女たちのキンピラゴボウ』
須原一秀『自死という生き方』
こだま『塩で揉む』
蚩尤『制服至上: 台湾女子高生制服選』

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